異状死における新型コロナウイルス感染症の検査(日本法医病理学会アンケート)
2020/04/26に、日本法医病理学会は、2020年4月中旬に施行した「法医解剖、検案からの検体に対する新型コロナウイルス検査」に関するアンケートの結果を公表しました。
上記のエクセルファイルの一部は、以下のようになっています。
この、機関-14 の 、2020年4月上旬死亡の30代男性についてですが、
某病院入院患者。病院内で数名の陽性者が出ていた。死因はコロナは否定的なので、診断のためではなく、検視や解剖で病院関係者や遺体と接触した者への感染拡大を懸念しての検査だが断られた。
死因はコロナは否定的とありますが、院内感染拡大予防のためにも、PCR検査を許可してもらいたかったと思います。
死亡原因が肺炎の方のうち、PCR検査施行されず新型コロナウイルス感染症患者にカウントされていない人はいる
葬儀界から悲鳴…感染者かわからない「隠れコロナ」の恐怖
秦正理
2020.4.10 08:00
こちらの記事の葬儀社の方によりますと、『自宅で肺炎が重症化し、救急搬送されてそのまま亡くなるケースで、PCR検査がされないまま、葬儀社に遺体が渡っている可能性があり、感染者かどうかわからない。』とのことです。
肺炎の原因としては、新型コロナウイルス以外にも、誤嚥性肺炎やインフルエンザ肺炎が多いと考えられますが、医療従事者の安全、院内感染予防を考えると、PCR検査はしてほしいものです(PCR陰性だからといってコロナウイルス感染は否定できませんが)。しかし、2020年4月現在、日本のPCR検査のキャパシティーが少ないため、原因不明の肺炎死亡者の方すべてをPCR検査することは不可能というのが現状だと思います。
法医学者とは
法医学者とは、かなりおおざっぱに説明すると、
法医解剖( 司法解剖と行政解剖 )を行う医師
となります。
2019年時点で日本に法医学者は約130人。法歯学者は約20人しかいないそうです。
2011年3月11日の東日本大震災直後の岩手県陸前高田市に法医チームが入り、遺体安置所である米崎中学校で身元確認作業に尽力されました。
『もし検案を怠れば、「殺し合い」が始まります。警察とわれわれが遺体を全部見て、殺されていませんってチェックしているから殺人が起きないんです。』
とのインタビューには個人的には身が震えました。
「死因究明等推進基本法」が、2020年4月から施行され、①死因究明等に係る医師、歯科医師等の人材の育成、②死因究明等に関する教育及び研究の拠点の整備③死因究明等 を行う 専門的な機関の全国的な整備―等を行うと記載されています。
https://en-park.net/words/7492
法医学とは
https://en-park.net/words/1881
検視とは
https://en-park.net/words/3539
行政解剖とは
https://en-park.net/words/3680
司法解剖とは
異状死とは
司法解剖・行政解剖・病理解剖
- 事件性が疑われる場合に死因などを究明する『司法解剖』 →年間約9000件
- 事件性はない遺体の死因究明を行う『行政解剖』
- 病気で亡くなった人を対象に行う『病理解剖』 →年間約2万件
があります。予算不足や法医学者の確保の困難さなどにより、事件性が疑われる遺体の解剖率は、2016年の全国平均で12.4%だそうです。また、警察庁刑事局の報告書によりますと、2013年の司法解剖数は8,536体とのことです。
つまり、年間約2万件の病理解剖とあわせて、日本では年間約3万件の解剖(正常解剖を除く)が行われていることになります。
2020年5月現在、新型コロナウイルス肺炎で死亡しても政府の統計にはカウントされない患者は少なからず存在し、今後もそれは続く
インフルエンザ迅速検査のように、咽頭ぬぐい液のSARS-CoV-2のPCR検査(orそれに代わる検査)が、費用的にもキャパシティー的にも気軽に行えるようになった場合、『実際の死亡者数』に『統計上の死亡者数』が近づくようになるとは思います。しかし、現在のPCR検査は、
『新型肺炎患者10人にPCR検査をすると、7人陽性で、3人は陰性と出てしまう』
ため、どの病気でもそうですが、 『実際の死亡者数』と『統計上の死亡者数』が一致するのは困難と思われます。(統計学上、それをなんとかする方法はあるらしいですが、、、)
関連ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200508-00000570-san-hlth
変死体発見後にコロナ陽性判明、感染リスクに戸惑う現場
5/8(金) 19:00配信
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