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新型コロナウイルス感染症Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)(9)医療機関における感染予防策(2020/3/31時点)

2020年4月2日

参照:神戸新聞NEXT
医師役はフェイスシールド+サージカルマスク+手袋+ガウンを着用し、患者役はサージカルマスクを着用

前回は、家庭での新型コロナウイルス感染予防策についてまとめてみました。

今回は、医療機関における新型コロナウイルス感染症COVID-19の感染予防策について解説したいと思います。

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新型コロナウイルス感染症COVID-19は病院でも感染が爆発的に拡大する

参考: 東京都で感染者7人死亡 うち5人は永寿総合病院の患者( 2020年3月31日)

参照:朝日新聞デジタル

当たり前ですが、病院(医療機関)には新型コロナウイルス感染者が受診します。

医療従事者も人ですので、SARS-CoV-2に感染しえます。最悪の場合、

  1. 患者から医療従事者(医師や看護師など)にSARS-CoV-2が感染し、
  2. その医療従事者から、別の外来患者や、入院患者に感染し
  3. さらにその患者から、別の患者や、外で一般の人に感染する
  4. その結果、パンデミック
  5. 病院が新型コロナ患者であふれ、医療崩壊
  6. 新型コロナによる死者、新型コロナ以外の死者が増大

となります。2020年1月の中国や、2020年3月のイタリアでは、それが起こっています。これを避けるためにも、最初の、『1.患者から医療従事者への感染』を防がないといけません。

国立感染症研究所( 国立国際医療研究センター病院  )が公表している、『新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年3月19日改訂版)』 のうち、医療機関における感染対策についてまとめてみたいと思います。国立国際医療研究センター病院 は、全国に4つある『特定感染症指定医療機関』の うちの一つであり、事実上、国が認める日本の感染症医療機関のトップということになります。

2020年1月から多数の新型コロナ肺炎患者の治療を行っているにも関わらず、2020/3/30現在、医療従事者のコロナウイルス感染を起こしていません。
信頼性が非常に高いと思われます。

参照: 新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年3月19日改訂版)

医療機関での感染対策の全文

参照: 新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年3月19日改訂版)

この文面そのままでよいのですが、少し解説をさせて頂きたいと思います。

病院の外来で新型コロナウイルス感染症COVID-19疑いの患者さんを診察するときは標準予防策+接触予防策+飛沫予防策

医師が新型コロナ疑い患者を問診するだけなら、以下の5つとのことです。

1.標準予防策(診察前後にアルコール手指消毒)
2.接触予防策(医療従事者が手袋とビニールエプロンを着用)
3.飛沫予防策(医療従事者も患者もサージカルマスクを着用)
4.診察室は個室が望ましい
5.診察室は陰圧室である必要はないが、十分に換気する

ちなみに、恥ずかしながら、『標準予防策』という言葉を知りませんでした。1個ずつ記載していきます。

1.標準予防策Standard Precautions

参照:標準予防策と感染経路別予防策
参照:鹿児島大学病院 感染対策マニュアル

標準予防策とは、

1.すべての人は伝播する病原体を保有していると考え、
2.患者および周囲の環境に接触する前後には手指衛生を行い、
3.血液・体液・粘膜などに曝露するおそれのあるときは個人防護具を用いること

とのことです。

患者に接触する前と後に『手指衛生』を行うとのことですが、 『手指衛生』 とは、

  1. 基本的にはアルコール消毒
  2. 手が見た目に汚れている場合や急性胃腸炎の流行期は流水による手洗いの併用が必要

とのことです。(参照:手指衛生

それぞれの具体的な手順としては、以下の通りだそうです。

手指衛生 (1)アルコール消毒とは

手洗いよりも、アルコール手指消毒がメインだそうです。

参照:鹿児島大学病院 感染対策マニュアル
参照:鹿児島大学病院 感染対策マニュアル

ヒビソフトは液体タイプのアルコール消毒薬である一方、ゴージョーは ジェル状手指消毒剤です。個人的にジェル状消毒剤はヌメヌメして不潔っぽくて大嫌いなのですが、仕方ありません。

参照:鹿児島大学病院 感染対策マニュアル

『アルコール手指消毒』
メーカー勧告量として十分な量(ヒビソフトでは3 ml、ゴージョーでは1.3 ml)のアルコール消毒剤を掌(てのひら)にとり、両手で乾燥するまで、手のすべての表面にすりこむ

とのことです。以下の場面でアルコール手指消毒が必要とのことですので、しょっちゅうですね。『1患者1手洗い』は、よく言われています。

参照:手指消毒

手指衛生 (2)液状石けんと流水による手洗い

参照:鹿児島大学病院 感染対策マニュアル
参照:鹿児島大学病院 感染対策マニュアル

本当は、 メーカーの勧告する消毒剤の量が1プッシュか、2プッシュかなど調べる必要がありますが、その石鹸の箱に書いてあるのだと思います、、、

『石鹸と流水による手洗い』
手を水で濡らし、消毒剤を手にとり、15秒以上かけて、上記の絵に従って、手のすべての表面を強くこすりあわせ、水で洗い流します。
ペーパータオルで手をふいてよく乾燥させたのち、
蛇口は使用したペーパータオルで閉めて(自動式なら不要)
最後にアルコール手指消毒を行う

この最後の3つの、

  • 蛇口はペーパータオルで閉める
  • 水で洗う(お湯は手が荒れるので、水で洗う!)
  • 手洗い後は、アルコール消毒(手指消毒)を行う

とか、知りませんでした。病院では、石鹸流水のよる手洗いの後はアルコール消毒が必須なのですね。

個人防護服(PPE)

標準予防策は全ての患者の血液、体液、粘膜、損傷した皮膚を感染の対象として対応します。手指衛生はその基本です。体液などを扱う際は手袋、分泌物が飛散する可能性がある場合にはマスク、ゴーグル、ビニールエプロンを使用するなど、処置行為に対して、それぞれの予防策を行います。咳エチケットも標準予防策の一環です。咳エチケットには、咳やくしゃみがあるときにはマスクなどを用いて鼻や口を覆い、分泌物で汚染されたら手指衛生を行うことが含まれます。

http://amr.ncgm.go.jp/medics/2-5-2-4.html

手指衛生の後、状況に応じて、手袋やガウン、マスクなどを追加装備します。

参照: Hygiene Shop | サラヤ

https://shop.saraya.com/hygiene/category/ppe.html
PPE(個人防護具)について

参照: Hygiene Shop | サラヤ

追加装備については、上記の通りだそうです。。。

なんか、一番基本である、『標準予防策』を調べるだけで疲れてしまいました。。。

2.接触予防策とは

接触予防策は、主に疫学的に重要な薬剤耐性菌や胃腸炎、疥癬の際に必要となります。感染対策のためには個室管理が望ましいです。標準予防策に加え、室内に入る際には手袋およびビニールエプロンを着用します。

http://amr.ncgm.go.jp/medics/2-5-2-4.html

要は、標準予防策に加えて『手袋』と『ビニールエプロン』を追加装備しろということらしいです。(なんか、標準予防策の安価に、手袋が入っているような気がしないでもないですが、言葉の定義が適当なのでしょうか。。。)

接触予防策のポイントとしては、標準予防策に加えて

1.医療従事者が手袋を着用する
2.医療従事者がビニールエプロンを着用する

となると思われます。

3.飛沫予防策とは

飛沫予防策は、主にインフルエンザウイルス感染症、マイコプラズマ感染症などの気道感染の際に必要となります。飛沫が飛び散るのを防ぐため、個室入室もしくは他の患者と距離をおくことが必要とされます。患者は飛沫の飛び散りを防ぐためにサージカルマスクを着用します。医療従事者は、標準予防策に加え、患者の1m以内で処置を行う際にはサージカルマスクを着用します。

http://amr.ncgm.go.jp/medics/2-5-2-4.html

飛沫予防策のポイントとしては、標準予防策に加えて

1.患者がサージカルマスクを着用する
2.医療従事者もサージカルマスクを着用する(患者の1m以内で処置を行う場合)
3.診察室は個室(または他の患者と距離をおく)

となると思われます。

PCR検査やインフルエンザ迅速診断のために上気道の検体を採取する場合は、さらにゴーグルまたはフェイスシールド+長袖ガウンを装着する

参照:西日本新聞
参照: 新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年3月19日改訂版)

使い捨てゴーグルは見たことがないので、おそらく、使い捨てのフェイスシールドを使用することになると思われます。上気道検体を採取するときは、患者の鼻に綿棒を挿入するので、患者がくしゃみや咳をする可能性が高く、『患者の目の前ではなく、ななめ横に立って、検体を採取する』のが正しいやり方という噂を聞いたことがあります。

気道吸引、気管内挿管、下気道検体採取などエアロゾルが発生する場合は、さらにN95マスクを装着する

参照:3M N95マスクとは?

N95マスクを正しく装着すると、装着した人が息がかなりしづらくて苦しいです。長袖ガウン、N95マスク、ゴーグルを装着した状態で、気管内挿管するのは相当やりづらそうですが、医療従事者が感染しないためには、必須事項とのことです。

リンク

参考:Standard Precautions for All Patient Care

参照: Standard Precautions for All Patient Care