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新型コロナ肺炎による日本の医療崩壊を防ぐために『一般病院』と『ホテル』と『自宅』が患者受け入れへ(2020年4月)

2020年4月5日

2020年4月からCOVID-19軽症者はホテルや自宅で待機

2020年4月3日、東京都は『今後、新型コロナウイルスPCR検査で陽性になっても、軽症であれば、ホテル隔離や自宅隔離とする』方針を発表しました。

理由は

医療崩壊を防ぐため

です。

参考:https://www.yomiuri.co.jp/national/20200403-OYT1T50029/
【独自】都、軽症者はホテルに…病床逼迫で1000室借り上げ
2020/04/03 07:09

同時に、2020年4月から、感染症指定医療機関以外の病院にもCOVID-19肺炎患者の受け入れが始まり、院内感染のリスクが高まると予想されます。

今回は

  • 感染症指定医療機関とは?
  • 感染症指定医療機関以外の病院がCOVID-19肺炎患者を受け入れることのリスク(受け入れないつもりでも別の主訴で入院してきますが)
  • 感染症指定医療機関でも医師が新型コロナウイルスに感染
  • 医療崩壊するとCOVID-19肺炎以外の病気での死亡例も増える
  • なぜ軽症者は自宅隔離またはホテル隔離なのか?
  • 外国での医療崩壊の実際
  • COVID-19パンデミックによる医療崩壊を防ぐために、いまできること(個人的意見)

について解説したいと思います。

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感染症指定医療機関は感染症患者対応に慣れている

感染症指定医療機関とは

新型コロナコロナウイルス感染症 COVID-19は、 2020年2月に『指定感染症』 に指定されました。そのため、COVID-19肺炎患者は、通常は、『感染症指定医療機関』

という、感染病床(前室を持つシャワー、トイレつき個室、換気方法など厚生省告示の特殊な条件を満たす)(モノ)を持ち、感染症のエキスパート(ヒト)が揃った病院に入院することになっています(参考:感染症法)。特に上2つの59医療機関は、職員が新型コロナウイルス(それ以外の病原体にも)に感染しないように、患者動線、施設、職員教育が行き届いており、職員の意識も感染症に対してしっかりしています(たぶん、、、)(アルコール手指消毒の実施率を調べると、指定医療機関とそれ以外の病院で有意差が出るのでは?なんて妄想します。)。

そのためか、国立国際医療研究センター、自衛隊中央病院では、 2020年1月~2月から多数の新型コロナ肺炎患者の治療を行っているにも関わらず、2020年3月末時点で職員の感染は認めておりません。

一方で、2020年3月末に、『感染症指定医療機関』ではない永寿総合病院(東京都台東区)や、慶應義塾大学病院にて、医師を含む複数の職員が院内感染を起こしています。

特に大学病院には、毎年4月に何十人もの新臨床研修医が入職しますが、医師1年目の研修医に、感染予防策を徹底し、SARS-CoV-2に感染させないようにすることは、至難の業です。

感染症指定医療機関以外の病院がCOVID-19肺炎患者を受け入れると、病院職員が次々と新型コロナウイルスに感染するリスクが高い

『感染症指定医療機関』と 『感染症指定医療機関以外の病院』の違い

2020年2月から2020年3月までは、 感染症法 の『指定感染症』 であることを根拠として、

  • 新型コロナウイルス感染者は軽症も含めて全員、『感染症指定医療機関』に入院

となっていました。しかし、東京都その他の地域では『感染症指定医療機関』が満床になってしまったため、2020年4月から、以下の方針とするそうです。(参考: 新型コロナ陽性でも、軽症者・無症状者は「宿泊療養・自宅療養」の対象に ― 厚労省2020.4.3.(金)

  • 新型コロナウイルス感染者のうち重症な患者のみ、『感染症指定医療機関』に入院
  • 中等症からやや重症例は『感染症指定医療機関』以外の病院に入院
  • 軽症例は、自宅待機
  • 軽症例でも家族がいる場合は、自宅で家族に感染させる危険性があるため、場合によっては指定のホテルに隔離

これにより、

  • 『感染症指定医療機関』に入院できない中等症~重症例を普通の病院へ入院可能とする
  • 普通の病院がパンクすると、新型コロナ肺炎以外の病気の治療ができなくなるので軽症例は入院させず、ベッドの空きと人員を確保する

ことができるようになると期待されます。

しかし、 急事態宣言の前に備えたい「医療崩壊」へのトラップ (4/3(金) 7:11配信) にもあるように、2020年3月末時点で、『感染症指定医療機関』以外の病院の医師の多くが、

『新型コロナ肺炎疑い患者は指定医療機関に転院してもらえばよい』

と『他人事』のように甘く考えている節があります。世界でのCOVID-19のパンデミック状態を見れば、日本でも新型コロナ感染者が既に街にあふれており、例えば、『大腿骨骨折で入院した80代女性が、入院後に発熱し、胸部レントゲンで肺が真っ白、鼻咽頭スワブでPCR検査したら新型コロナ陽性』、なんてことは日常茶飯事になると思われます。そんなとき、発熱した患者が通る入口と、そうでない患者の入口が同じ(動線の問題)であるような病院で、少し風邪っぽい患者にマスクもさせず(そもそもマスク不足ですが)、自分は手袋、ガウンやアイシールドもしないような医師(診察、処置毎のアルコール手指消毒もときどき忘れる?)が診療にあたれば、一発で医師が新型コロナウイルスに感染し、外来や病棟、オペ室、医局で他の患者や医療従事者に院内感染させていくことは容易に想像できます。

参照: 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第1版(厚生労働省研究班)
参照: 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第1版(厚生労働省研究班)

医療機関における感染予防策の詳細については、よろしければ以下の記事をご覧下さい。

2020/4/4時点で、日本において医療従事者153人のSARS-CoV-19感染が判明しているとのことです。

https://mainichi.jp/articles/20200404/k00/00m/040/127000c

参照: https://mainichi.jp/articles/20200404/k00/00m/040/127000c

感染症指定医療機関でも医師が新型コロナウイルスに感染

どんなに気をつけて、ガイドラインをしっかり守って行動していても、病院内外で医療従事者が新型コロナウイルスに感染してしまうこともあります。

参照: https://yokohama-shiminhosp.jp/

2020年4月1日に、横浜市立市民病院(第一種感染症指定医療機関)にて、2年目研修医のPCR陽性が判明しました。

その研修医は救急外来担当で、感染症病棟では勤務していなかったとのことです。濃厚接触者として指導医4人と研修医45人全員も自宅待機とし、救急診療体制の維持が困難になりました(リンク1)。医師49名が自宅待機となれば、常識的には、その病院は救急外来や新規入院はほぼ休止となります。

  • 街中では新型コロナウイルス肺炎患者が増えて、病院受診者が増える(医師の需要が増える)
  • 大量の医師や看護師が新型コロナウイルス陽性となり、勤務不可能となる(過去50年間でこんなことがあったという話を聞いたことがありません。)(医師の供給が減る)

このような病院が一気に増えると、残っている全ての病院がパンクして、いわゆる『医療崩壊』となります。

医療崩壊するとCOVID-19肺炎以外の病気での死亡例も激増する

ここでいう医療崩壊とは、

患者の治療に必要な医療リソース(医師、看護師、薬剤、ベッドなど)が足りなくなる状態

と定義します。『医療崩壊』がおこると、以下のような状態になります。

  • 病院の廊下は診察待ち患者であふれ(これは今でも大学病院ではよくある光景ですが)、診察の待ち時間が数時間でなく、数日~数週間、または診察不可能となる
  • 限られた医療リソースを有効利用するために、『命の選別』(治療をしない人を決定する)を行う必要が出てくる
  • 新型コロナウイルス感染症で重症でも入院治療できず、死亡率が上がる(2020年3月現在、既に起こっています)
  • 新型コロナウイルス感染症以外の患者(心筋梗塞、脳梗塞、がんなど)も治療が受けられなくなり、死亡率が上がる

ちなみに、歴史的には、『スペインインフルエンザ(1918-1919)』がパンデミック(世界的流行)を起こした際には、全世界の人口の約3分の1(5億人)が罹患し、致死率2.5%以上、死者5000万人と言われています。日本では約2300万人の患者と約38万人の死亡者が出たとのことです。(リンク

なぜ軽症者は自宅隔離またはホテル隔離なのか?

上記に記載しましたが、一言でいうと

軽症者が病院に入院すると、感染症指定医療機関はおろか、それ以外の病院も病床がパンクして、他のCOVID-19重症患者や、他の病気の重症患者が入院するベッドが足りなくなってしまうため

が理由となります。もちろん、重症化したら(呼吸困難、全身倦怠感など)、新型コロナ受診相談窓口 (帰国者・接触者電話相談センター)に電話して、すぐに指定された病院を受診する必要はあります。

医療崩壊となったときのために、大阪市は、医師OBら復帰の準備をしているとのことです。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO57673080T00C20A4AC8000?s=1
「医師OBら復帰へ準備」大阪市長、新型コロナ拡大で
2020年4月3日 22:42

また、保育園や小学校閉鎖により親である医療従事者が出勤できなくなる場合があるため、その対策についても、各病院でアンケートを実施し、緊急保育施設の設置などを準備している病院もあります。

外国での医療崩壊の実際

https://www.afpbb.com/articles/-/3265340?act=all
「まるでホラー映画」 中国・武漢の病院、長蛇の列 募る恐怖といら立ち
2020年1月27日

https://m.huffingtonpost.jp/entry/news_jp_5e83e760c5b65dd0c5d61509
更新 2020年04月02日
「若くして基礎疾患がなくても亡くなる人を2週間で何人も見た」 NYの医師、故郷の日本に強い訴え

https://jp.wsj.com/articles/SB12487716398395244025504586300261889346394
ニューヨークの医療崩壊、看護師の悲痛な証言
2020 年 4 月 3 日

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200405/k10012369151000.html

参照: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200405/k10012369151000.html

COVID-19パンデミックによる医療崩壊を防ぐために、いまできること(個人的意見)

2020/04/01に投稿された、ニューヨークのハーレムに住んでる日本人の方によるニューヨークの現状と、外出は控えましょうという主張の動画です。

個人でできることは、以下のようなことかと思います。

  • 極力外出を控える
  • よく手洗いをする
  • 消毒用アルコールがあれば、アルコール手指消毒がお勧め(コロナウイルスが不活化されるため)
  • 外出する際はマスクをする(マスク、本当に売ってないですが、自分が無症候感染の場合に他人にうつさないためです)
  • 新型コロナウイルスに感染したかな?と思ったら、いきなり病院へ行かずに、 新型コロナ受診相談窓口 (帰国者・接触者電話相談センター)に電話相談してから、指示されたら、指定の病院へ行く。
  • 病院では医師の指示に従う(PCR検査を強く要求しない、軽症と判断されたら自宅待機などの指示に従う、入院させろとごねない)

政府ができること(個人的に政府にすぐにやってほしいこと)は、

治験を継続しつつも、すぐにアビガンの大量生産、病院への配布を実行する

ことだと思います。さらに、

  • 感度と特異度の高い簡易検査キットの開発
  • ワクチン開発
  • アビガン以外のCOVID-19治療薬の新規開発

を国をあげて支援することだと思います。

長期戦になりそうですが、日本でCOVI-19による医療崩壊が起こらない(私自身が起こさない)ことを祈ります。