黒字社員と赤字社員
「デキるつもり」が会社を潰す – 「絶対黒字感覚」のある人、ない人 (中公新書ラクレ)
http://www.chuko.co.jp/laclef/2011/10/150397.html
「企業の利益」=「経営者(または株主)の利益」を最大化するために、社員や経営者はどのように考え、行動したらよいかの有用な指針を与えてくれる本。
この本の通りに行動できた会社があったとして、私はそのような会社にできれば勤めたくない。
しかし、もし私が経営者であったら、この本の通りに社員を行動させたいと思うであろう。
非常に素晴らしい本であると思うが、中小企業のワンマン経営者あたりがこの本を読んで、自分の都合のよいところだけを分かったつもりになって、「社員全員にこれを読ませて、この通りに行動させよう」と思うのではないだろうか?
この本の著者は、以前、「東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員」という本を出しており、そんな社長ならこの本も社員全員に読ませているのではないだろうか?
社員からは、「また社長があんなこと言っているよ、、、ただでさえ時給が低いのに、これからは残業代もなしか、トホホ」となっている姿が目に浮かぶ。
「経営コンサルタント」なる職業が存在し、金融マンと同様、高収入(年収3000万円以上くらい?)を得ているという噂を聞く。実際、大学の知り合いも外資系金融会社と同様、コンサルタント会社に就職する人も数人いた。しかし、「コンサルタント」=「相談」料に、企業がなぜ多額を費やすのか、私には今まで理解できなかった。(もちろん、私は経営者になれたことがないからであるが、、、)。「経営コンサルタント」といえば、アニメ「花咲くいろは」の地方旅館に来ていた役立たず勘違いコンサルタント(結局コンサルタントのアドバイスが経営の悪化を招いていた)のイメージしかなかった。しかし、この本を読んでから、もし私が経営者であったら(なおかつお金があったら)、ぜひ、この本の著者に連絡をとって、自分の会社の「経営コンサルタント」になってもらいたいと思うであろう。
本の中では、
「どのような社員が会社に赤字を与えているか」
「黒字社員になる(黒字社員を育てる)にはどうしたらいいか」
などが、対話形式の例をあげながら具体的に書かれている。
「入社3年目までの新入社員が雑用を快く瞬殺すると、会社の利益になる」理由なども非常に分かりやすく説明されており、感動する内容が結構たくさんあり、雇われ側である自分の人生にも参考になる部分がいくつかあった。
蛇足だが、上記の内容は、実は、
「入社4年目以上の社員が雑用ばかりやっていると、会社の不利益になる」
ということと表裏一体ではないだろうか?
ただ、この本の通りに実行すると、「会社の黒字は増える」し、「有能な(有能になれた)社員は定時に帰れて、出世して給料もあがるなど幸せ」になるだろうが、「数字に出てこない利益に貢献している人」(←説明しずらい、、、)や、「無能な」または「病弱な」社員の方は今よりも幸福度がさらに下がり、現在よりも「格差」が広がりそうではある。
しかし、会社にいる「なんちゃって黒字社員(本当は赤字社員)」に対する理論武装として、この本は非常に役に立ちそうではある。
次は、「東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員」を読んでみようと思う。