眼科医からみた子供の視力回復法

眼科専門医、医学博士による解説

近視について(Part 1)

time 2015/09/23

近視について(Part 1)

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近視とは

近視とは、ある程度近くのものは裸眼ではっきり見えるのに、遠くのものになると眼鏡をかけないとはっきり見えない状態です。

図でかくと以下のようになります。

(1)眼科のサイトでよく出てくる目(眼:め)の断面図は、このようになっています。

image01

 

図1 眼球の断面図(横からみて切った絵)

(2)眼球の真横からの絵を拡大すると、図2のようになります。

外からの光(前方からの光、下図では,左側から右側への光)は、無色透明な角膜(かくまく)と水晶体(水晶体)を通過して(ここで光は曲げられます。)、眼の奥の網膜(もうまく)という膜に光が届くと、ものを見ることができます。

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図2 眼球(がんきゅう、めだま)の断面図(縦に切った時の切り口)

(3)正視(せいし:遠視でも近視でもない眼)の人は、図3のような眼球(がんきゅう)をしています。

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図3 正視の眼球の断面図

(4)近視(きんし)の人は、図4のように、遠くからきた平行線の光が、網膜(もうまく:目の奥にある光を感じる膜、カメラでいうフィルムの部分です)より手前で焦点を結んでしまいます。

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図4  近視の眼球の断面図

(5)近視の人でも、図5のように、近くのものは、はっきりと見ることができます。

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図5  近視の眼球の断面図その2

(5)近視には以下の2つのタイプがありますが、子供の近視で治療の対象となるのは、主に、屈折性近視のうちの仮性近視(調節緊張)です。軸性近視は眼球の大きさが大きいことが近視の原因なので、「(軸性)近視を目薬やトレーニングで治す」ことは、「眼球を小さくする」ことになるので、「そんなことは不可能だ。」と一般的な眼科医は考えます。私も「軸性近視を、目薬やトレーニングなどで(手術以外の方法で)治すことは不可能である」という考えです。

●軸性近視(じくせいきんし):眼球の大きさが大きいために、網膜が焦点よりも後方に位置してしまう。(専門用語で、眼軸(角膜頂点から黄斑までの距離)が長いといいます。大人の眼軸は通常24 mm程度です。)

●屈折性近視(くっせつせいきんし):角膜や水晶体が光を曲げる力が強すぎて、焦点が網膜のより前方にきてしまう。

いきなりお話が難しくなりました。今はまだ、(5)の内容は、聞き流してくだされば結構です。次回は、軸性近視と屈折性近視と、治療法について簡単に記載させていただこうと思います。

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