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それぞれの医師の立場と、軽症者のSARS-CoV-2のPCR検査に対する考え方について

軽症者のPCR検査を施行するかしないかについて、医師の間でも意見が真っ二つに分かれています。

その理由について、筆者の独断と偏見で考察をしてみたいと思います。(かなり強引です、、、)

新型コロナウイルス感染症COVID-19に関わる医師として、以下の4通りが考えられます。(発熱患者の診療をしない臨床医、研究者、公衆衛生学などの専門家でも、軽症者のPCR検査反対の医師はいます。)

  1. 発熱患者の診療をする臨床医(現場で患者と接している医師)。新型肺炎患者の診療を行っている病院に勤務している医師(例:日本感染症学会、神奈川県医師会、東京都医師会)
  2. 発熱患者の診療をしない臨床医。『発熱患者は帰国者・接触者相談センターに電話してください』とホームページに掲示している病院に勤務し、 新型肺炎疑い患者の診察を拒否する医師(例:日本医師会)
  3. 研究医。医師免許は持っているが、2020年時点で、直接患者の診察は行っていない医師。(例:ノーベル賞受賞者)
  4. 公衆衛生学などの専門家、医療ジャーナリストなど (例:テレビによく出演する自称専門家)

上記のうち、軽症者のPCR検査に反対するのは、『1. 発熱患者、新型肺炎患者の診療をする臨床医』のみの傾向が強いと考えています。理由は、

重傷者の治療で手一杯で軽症者(酸素吸入や人工呼吸器が不要な人)のPCR検査まで手がまわらない

からです。

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大前提:PCR検査の感度は70%、検査陰性でも『新型コロナウイルス肺炎は否定できない』

参照: https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/4092/

『本当はSARS-CoV-2というウイルスに感染している人』10人がPCR検査を受けると、そのうち3人が『ウイルス陰性』と判定されてしまいます。その3人が会社に出社したら、電車や会社で他人をウイルスに感染させることになります。(参照: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32101510/ )

『感度』と『特異度』についてはこちらが参考になります。正直、難しい概念です。

PCR検査で『陰性』でも、出歩かないで自宅待機してください。他人にウイルスを感染させる可能性があります。

そもそも、2020年4月のこの時期は、自力歩行できるなら、他人からウイルスをうつされないため、また、もし自分がSARS-CoV-2に感染していても、他人に感染させないために

STAY HOME (自宅待機)

が望ましいです。ちなみに、PCR陽性でも、2020年4月時点では、一般の軽症者はアビガンを処方してもらえません。

つまり、PCR検査の結果が陽性だろうが陰性だろうが、自力歩行できるなら、『自宅待機』なのです。

発熱患者・新型肺炎患者の診療をする臨床医(発熱外来・新型コロナ病棟)

※新型コロナウイルス肺炎の診療が自分と密接に関わっていると考えている医師

臨床医(現場で患者と接している医師)のうち、COVID-19患者の診療を行っている病院に勤務している医師、 正確には、新型コロナウイルス肺炎の診療が自分と密接に関わっていると考えている医師は、軽症者のPCR検査を否定する傾向が強いです (例:日本感染症学会、神奈川県医師会、東京都医師会) 。なぜなら、現場はCOVID-19患者の診療でパンクして、既に医療崩壊しかけているため、残念ながら、軽症者の相手をしている暇はないからです。

ちなみに、COVID-19肺炎の軽症者というのは、

  • 酸素吸入が不要(酸素吸入が必要だと『重症』と言います)
  • 人工呼吸器装着が不要(人工呼吸器装着で『重篤』となります)

という意味です。もちろん、軽症者が急に悪化して、死亡してしまうことはありえます。

参照: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200322/k10012344071000.html

しかし、軽症者をすべてPCR検査しようとすると、既に足りないマスクやゴーグル、ガウンがさらに枯渇し、重傷者に投入すべきマンパワーがとられ、現場が疲弊し、医療従事者が死亡し(→イタリア 医師100人超が死亡 新型コロナウイルス)、医療崩壊を起こします。既に下図の黒い県は、患者数が病床数を超えています。

参照: https://www.stopcovid19.jp/

2020年4月現在、都内の病院では、既に、内科医だけでなく、外科医、眼科医、皮膚科医、整形外科医など全科の医師の一部が新型コロナ病棟に配置転換されるという、前代未聞の事態がおこっています。当然、定時手術は多くが中止(がんの手術の延期など)となり、心筋梗塞、脳出血、がんなどの、新型コロナウイルス感染症以外の患者さんの治療に深刻な影響が出ています。既に、『新型肺炎でも、他の病気でも、入院できる病院が無い』という事態になっています。

発熱患者の診療をしない臨床医

臨床医のうち、『発熱患者は帰国者・接触者相談センターに電話してください』とホームページに掲示している病院に勤務し、COVID-19疑い患者の診察を拒否する医師(例:日本医師会)は、軽症者のPCR検査を肯定する傾向が強いです。なぜなら、これらの病院は、

発熱患者の診察を拒否しているため、患者数が激減しており、暇である

からです。PCR検査数を増やしても、自分達がPCR検査するわけでもなく、増えた分のPCR検査を実際に行うのは『発熱患者・新型肺炎患者の診療を行う医師』なのです。

参照: https://www.asahi.com/articles/ASN4K5TL9N4KUTFL012.html

しかし、発熱外来を持たない病院の医師でも、例えば、東京都医師会は、 患者さんの不安を和らげようと、 また少しでも『新型肺炎患者を診療している病院』の負担を減らそうとして、『PCRセンター』の開設を予定しています。

参照: https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3958833.html

研究者や、 公衆衛生学などの専門家

研究医。医師免許は持っているが、2020年時点で、直接患者の診察は行っていない医師(例:ノーベル賞受賞者)や、テレビによく出てくる公衆衛生学の専門家や、自称医療ジャーナリストなども、 軽症者のPCR検査を肯定する傾向が強いです。

研究医は、昔は臨床もしていたかもしれませんが、今はそもそも患者さんの訴えを直接聞くこともないですし、 『新型肺炎患者を診療している病院』 の現状を知る由もありません。もしかしたら、患者数の正確な把握という『事実探求欲』があるのかもしれません。普段、研究医はPCRの実験を非常によく行っているので、PCR検査についてよく知っているつもりなのかもしれませんが、もしかすると、SARS-CoV-2のPCR検査の感度が70%しかないという知識はないのかもしれません。現状のPCR検査が、鼻の奥に細い綿棒を突っ込んでこすっただけの検体からRNAを抽出して行うqPCR検査ということを理解していたら、感度が高い訳がないことは、研究医でも、容易に想像がつくはずです。

https://dot.asahi.com/aera/2020041700078.html?page=2

WHO上級顧問・渋谷健司さんが警鐘 「手遅れに近い」状態を招いた専門家会議の問題点

小田健司2020.4.18

PCR検査に期待している方は、以下の記事を読めば、PCR検査に対する意識が変わるかもしれません。

参照: https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagitaemmy/20200407-00171676/

番外編:無責任な発言連発の上に影響力が強い芸能人

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200418-00000007-tospoweb-ent

デヴィ夫人「PCR検査を敏速に、ドライブスルー検査も実行して」4/18(土)

当然ですが、芸能人は、『自分が目立つこと』『不安を煽ること』『自分の人気が出るようなこと』を発言しようとします。

そりゃ誰だって、本当は自分が新型コロナウイルスに感染しているかどうかは、検査をして知りたいと不安に思っています。筆者だって本当はPCR検査を受けたいです。

したがって、ほとんどの芸能人、コメンテーターは、軽症者のPCR検査を肯定する発言をするようになります。

個人的意見では、 2020年4月時点では、一般の軽症者のPCR検査は反対です

なお、筆者の2020年4月時点での意見は、以下の通りです。

2020年4月時点では、一般の軽症者のPCR検査は断固反対
(自宅で自分の検体をとって郵送するのはありですが、感度はものすごく低くなります。それとは別に、医療従事者は軽症でもすぐにPCR検査を行うべきと考えます。)

アビガンが保険適応になり、備蓄量が数千万人分できたら、『早期発見、早期アビガン投与』を希望

まずはパンデミック期を乗り切り、

  • 有効なワクチンの開発(RNAウイルスなのでHIV同様難しいかもしれません)
  • 感度の高い迅速な検査法が開発され普及
  • アビガンがすぐに手に入る状況

がきて、新型肺炎から『新型』の文字が消え、COVID-19が今のインフルエンザのような病気となる(インフルエンザは15分で判定できて、早期投与すれば治癒率の高い治療薬(タミフルなど)があります)ことを願います。

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