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『ヒトがいまあるのはウイルスのおかげ!』を読んで、もはやコンピュータウイルスも生物と言っていいんじゃないかと妄想した

新型コロナウイルスで生活が一変してしまった昨今、ウイルスについて一般的な知識が欲しいと思って、Kindleで目にとまったこの本を衝動買いして読んでみました。

『ウイルスのおかげ』について説明されるのが、最後の方なのですが、全編を通して、ものすごく面白く、知的好奇心が刺激されまくり、人生で読んだ科学本の中で、最も印象的な本の一つになりました。この本は、超絶お勧めです。この本の題名は、一生、私の記憶に残ると思います。

今まで読んだ科学本の中で、同様に面白くて感動した本は、たしか高校生のときに読んだ、黒木登志夫 (著)『がん遺伝子の発見 がん解明の同時代史』です。こちらも1996年の本なのに、Kindle化されているんですね。やはり大人気のようです。

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2003年に巨大ウイルスが発見されたことにより、生物の分類が代わりつつあるのではというお話

2003年に、『ミミウイルス』と呼ばれる巨大ウイルスが発見されてから、『海水をすくいとって全部PCR(次世代シーケンサー NGS)にかけて、中に入っている複数の生物のゲノムを解読しまくる』という方法で、新しい巨大ウイルスがどんどん発見されていったとのことです。

それらの新しい巨大ウイルスの遺伝子を解析していくと、現在有力である生物の分類方法である『3ドメイン説』が、『4ドメイン説』にとって代わられる可能性が出てきたとのことです。

私が高校生の頃は、生物の教科書には『ホイッタカーの五界説』が記載されていました

その昔、高校生物を習ったときに、『 新・図と表で見る生物 (駿台受験叢書) 』に、ホイッタカーの五界説がのっていて、今でも印象に残っています。

もう時代は変わったんですね。

1990年にカール・ウーズCarl Woese (1928 – 2012)が提唱した『3ドメイン説』では、生物全体を、細菌Bacteria、真核生物Eukaryota、古細菌Archaeaの3つに大別しており、これが、2020年現在、有力な生物の分類だそうです。

参照:Wikipedia

分類の根拠は、すべての生物が持っている16s rRNA遺伝子の配列の解析結果とのことです。それなら反対意見は無理ですね。ですが、 古細菌Archaea って何ですか?私はほとんど聞いたことありませんでしたが、高熱の温泉や油田などの極限環境に生息している生物の多くが、 『古細菌(こさいきん)』だそうです。 古細菌Archaea細菌Bacteria は、まったく異なるものとのことです(両方とも核を持たない原核生物だが、 細胞膜を構成する脂質の構造が古細菌と細菌で全く異なるなど、もう、16s rRNA遺伝子の配列だけでなく、分子生物学的にも見かけ上も全く異なる存在とのことです)。

生物の定義

2020年現在、ウイルスは生物ではないと言われています。というより、生物の定義として、本書『 ヒトがいまあるのはウイルスのおかげ 』にも記載がありますが、以下の3つの条件を満たすものとなります。

  1. 細胞膜で仕切られたかたまり(細胞)からできている
  2. 代謝を行う
  3. 自分と同じものを自力で複製する(自己複製)

(一般的な)ウイルスは、この3条件すべてを持っていません。ただ、たんぱく質の塊である『カプシド』(多くは正20面体)という殻で包まれているという点は、上の、(条件1)に近いものがあるかもしれません。ウイルスは、特定の生物の細胞に侵入し、その細胞の代謝と借りて、自己複製をしてもらい、大量の子ウイルスが細胞から発射されるといった形に流れになります。

ヒトの本体が『生殖細胞(精子や卵子)』なのではなく「我々」であるのと同様に、ウイルスの本体は『ウイルス粒子』ではなく 「ウイルスに感染した細胞」 であるという ヴァイロセル仮説

詳細は忘れてしまいましたが、 『 ヒトがいまあるのはウイルスのおかげ 』 では、ウイルスとは何か、から始まり、巨大ウイルスの発見を通して、最後は、『ヴァイロセル仮説』について説得力のある説明を展開します。

この本の最後の方にある、図20『精子とウイルス粒子はよく似ている?』と、図21『ウイルスの本体は「ウイルスに感染した細胞」である(ヴァイロセル仮説)』は衝撃的であり、この本のクライマックスだと思います。

この図21ですが、ここに掲載できないのが残念ですが、

  1. 上には、ウイルス粒子が細胞に感染した図があり、『ウイルスに感染した細胞』=『ウイルスの本体(ヴァイロセル)』、その横には次世代ウイルス
  2. 下には、ゾンビウイルスが細胞に感染した図があり、 『ゾンビウイルスに感染した細胞』=『ゾンビ』 、その横には次世代ゾンビ

といった感じです。

もう、こうなってくると、個人的には、生物の定義を、

  • 効率よく自己複製するものが生物

という定義にしてしまえば、ウイルスだって、プリオンだって、コンピューターウイルスだって、もう生物ってことでいいんじゃないかなと妄想しました。

本書の図21の直後に、『ゾンビはなぜだか人気があり、さまざまなジャンルのゾンビ映画が作られています』との記載があったが、私もアニメ『ゾンビランドサガ』が大好きです(ド根性感動アイドル成長物語です)。早く2期が見たいです!

参照: ゾンビランドサガ

利己的な遺伝子

この本を読んでいて、利己的な遺伝子という言葉を思い出しましたが、気にしないこととします。

真核細胞に核ができたのは、ウイルスのおかげという仮説がこの本の題名のもと

著者は、大学院生のときに、本テーマの研究が進まず、本テーマとは別に、ウイルスの系統樹を書き、『真核細胞の細胞核がウイルスによってもたらされた』という論文を2001年に発表したとのことでした。筆者が最後の方に書いてあるまとめは、以下の通りです。

  1. 巨大ウイルスの祖先が、わたしたちヒトなど真核生物の共通祖先に感染した
  2. この結果、細胞核がもたらされた
  3. 巨大ウイルスの祖先は、ヒトも含めたすべての生物の共通祖先である可能性がある

この3つ目の文章はよく理解できませんでしたが、 気にしないこととします。

大学院生時代に研究が進まない苦しさに共感すると同時に、

『系統樹かけるようになりたい!』

と思いました。特にコロナウイルスのゲノム情報をゲットして、自分で系統樹を書いてみたい!分子系統解析という分野らしいです。以下のサイトが参考になりそうです。(WindowsでもMacでも、Anacondaをインストール後、pip install ete3, conda install -c etetoolkit ete_toolchain でいけるそうです。ですが、配列をダウンロードする方法もググればすぐにできそうですね。。。)

参照: https://qiita.com/aical/items/2231198d3d75e72bee39

ラフレシアは臭い

ラフレシアってポケモンGoでしか知りませんでしたが、この本を読んで、寄生植物ということも初めて知りました。

ポケモンGo(初代ポケモン)では、最初にもらえるポケモン3種のうちの一つがナゾノクサであり、

ナゾノクサ → クサイハナ → ラフレシア

の順に進化する(そこそこ強い)のですが、Wikipediaで調べてみると、ラフレシアはクサイハナなんですね。これも初めて知りました。

読んでとっても面白い超お勧めの1冊です

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